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獣医師 福ちゃん


獣医師 福澤さん PETLIF


獣医師 福ちゃん自己紹介をお願いします。


獣医師 福ちゃん:経歴としましては、最初に大きな病院で研修医として経験を積み、その後、小さな病院に勤務しました。現在は再び大きな病院で働いています。このように、大きな病院と小さな病院の両方で勤務経験を積んできたのが私の特徴です。獣医師としては5年目になります。また、獣医師としての業務の傍ら、インスタグラムなどを通じて様々な活動を行っています。


趣味についてですが、スポーツではテニスやスキーが好きです。食べ物は和食が好みで、海外旅行にも興味があり、機会があればいろいろな国を訪れたいと思っています。



動物病院で働こうと思ったきっかけ、インスタグラムで活動している理由


獣医師 福ちゃん:動物病院で働こうと思ったきっかけは、幼い頃からずっと獣医師になりたいと思っていたことです。特別な理由というよりは、その夢をそのまま実現して現在に至っています。


インスタグラムを始めた理由は、診療を行う中で気づいたことにあります。飼い主さんの知識不足が原因で、病院に来るタイミングが遅れてしまい、早期診断や治療ができなかったケースが多々ありました。また、病院を選ぶ際や治療方法を決定する際に、飼い主さんが知識を持っているかどうかで判断や選択の仕方が大きく変わると感じました。


そのため、飼い主さんにもっと知識を持っていただき、ワンちゃんや猫ちゃんがより良いケアを受けられるようにとの思いで、インスタグラムを始めました。

インスタグラムを始めたのは、1年半から2年ほど前だと思います。正確な時期は覚えていませんが、おおよそ1年は経過しているかと思います。



獣医師 福澤さん PETLIF


今回のインタビューを受けた理由


獣医師 福ちゃん:今回のインタビューをお受けした理由は、動物に関する情報が少しでも広まり、多くの方のお役に立てればと思ったからです。もともと動物の情報を発信し、広めたいという思いがありました。このインタビューが誰かの助けになり、役立つ内容になるのであれば嬉しいと思い、参加させていただきました。



福ちゃんという名前の由来と活動の背景


獣医師 福ちゃん:「福ちゃん」という名前は、特に深い理由はありませんが、親しみやすい名前にしたいと思い名付けました。

これまでの活動の中で他の先生とのコラボレーションは少ないですが、過去にライブ配信でいとぅー先生とねこ先生とそれぞれコラボレーションしたことがあります。また、食事の専門分野を担当している友人の獣医師と一緒に、インスタグラムを始めた頃からYouTubeの活動も同時にスタートしました。


YouTubeでは、お互いの得意分野が異なることを活かしてフォローし合いながら情報発信をしています。特に、互いの知識を補完しながら視聴者にとって有益なコンテンツを届けたいという思いから始めた取り組みです。これからも引き続き、さまざまな方法で情報を発信していきたいと考えています。



獣医師 福澤さん PETLIF


獣医師やスタッフのお給料と獣医師業界の労働環境について。


獣医師 福ちゃん:給料は毎年上がる病院もありますが、一定のところで頭打ちになる場合もあるようです。ただし、多少は上がることが一般的だと思いますが、初任給が低いので、上がったとしても大きな変化はないかもしれません。

獣医師の給料が比較的高いのは事実ですが、一方で、動物看護師(VT)は非常に大変な仕事をしているにもかかわらず、給料があまり良くないことが多いです。そのため、辞めてしまい、他の企業に転職する方も少なくありません。とても重要な仕事であるにもかかわらず、適切に評価されていない現状は非常に残念で、もっとお給料が上がっても良いのではないかと感じています。


長時間労働が問題視されることは多く、特に残業代が支払われないケースや、休みが取りにくい状況がよく見られます。また、給料に関しても一般的な医療職と同様に低い傾向があります。

国家試験を受けるために6年間大学で学び、その後も勉強を続けて獣医師として働けるようになるのですが、それに対して給料が見合っていない現状があり、全体的に低い水準だと思います。



リピーターの方と新規の方、どちらが多いですか。来院される動物の比率について。


獣医師 福ちゃん:新規の方が多いですね。一度ご来院いただいた方が、別の病気で再び来院されることもありますが、基本的には新規の方が多い状況です。新規の方に来ていただけるのは病院としてはありがたいことですが、獣医師としては、一度診察した動物がその後どのような経過をたどったのか気になることも多いです。

また、来院されるのは、わんちゃんと猫ちゃんがほぼ同じくらいで、だいたい半々の比率です。当院は二次病院ということもあり、重症の患者さんが多いのが特徴です。また、大きな病院ということもあって、腫瘍の診断や治療で来院されるケースが多いです。ただし、腫瘍の場合はCTなどの画像診断を行わないと判断が難しいケースも少なくありません。



獣医師 福澤さん PETLIF


飼い主さんとのコミュニケーションの工夫


獣医師 福ちゃん:飼い主さんのタイプによって話すスピードなどを変えたりしています。年配の方はゆっくり話、専門用語を使わずに丁寧に説明したり、紙に書いて絵も描いています。若い方には、理解力があったりするのでハキハキして話したりしています。絵で描いたらわかりやすいのと、こちらとしてもコピーしておけば前回話したよという記録にも残るので、何かあっても対応ができますね。



獣医師としての魅力と専門分野・領域について


獣医師 福ちゃん:獣医師としての魅力は動物の症状が改善し、飼い主さんと共に良い方向へ進む瞬間が、この仕事の一番の魅力だと感じます。動物が好きで、この仕事に就きましたが、「ありがとうございました」という感謝の言葉や、飼い主さんからいただくお手紙に触れるたび、大きなやりがいを感じています。


特に、感謝の気持ちが込められたお手紙やポストカードをいただくと、それをロッカーに貼り、日々のモチベーションにしています。また、お菓子と一緒に心のこもったメッセージをいただくこともあり、それらを集めて大切に保管しています。

私の専門分野・領域は内科と救急を得意としています。内科は外科以外の診療全般を指し、手術は得意ではありませんが、麻酔については得意分野の一つです。特に、注射や飲み薬など、お薬を使った治療に自信があります。


麻酔については常に不安が伴いますが、リスクについては事前に飼い主様にしっかりと説明し、対応策をマニュアル化しているため、安心して進められる環境を整えています。麻酔のリスクには、心臓が止まる、血圧が下がるといったケースもありますが、リスクとメリットを慎重に天秤にかけながら準備を行います。


診療体制としては、私が担当するのは新規の患者さんは1日1件に絞り、通院や再診は3~4件に抑えています。1匹に十分な時間をかけるよう心がけており、新規の患者さんには丸1日をかけて対応します。また、麻酔などを含む診療はチーム全員(獣医師は6、7人、看護師さんは10人くらい)で協力して進めています。


動物病院の分類については、一次病院と二次病院で終わりです。業界では、大学の動物病院も二次病院に分類されます。「三次病院」という呼び方は使用しません。

また、病院は年中無休で稼働しています。仕事で急に呼ばれることはあまりないですね。月によってバラバラなんですけど、時間帯はシフトで管理されています。8時出勤や10時出勤など夜勤もあるので大変ですね。



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治療で難易度が高かったのはありますか。また緊急対応の対応について


獣医師 福ちゃん:それぞれの症例には異なる難易度やタイプがあります。特に猫ちゃんに関しては、下痢や嘔吐などの慢性小腸疾患が多く見られます。その中でも特に難しいのが「猫ちゃんがご飯を食べない」という問題です。

元々猫ちゃんはストレスや体調の影響で食べないことが多く、さらに治療の一環で療法食を与えなければならない場合、食べない猫ちゃんに療法食を提供しても拒否されるケースがよくあります。この「食べない問題」に対処することは非常に苦労します。療法食の機能を損なわない範囲でトッピングや食事環境を変えることで食欲を刺激したり、食欲増進剤の活用で医学的なアプローチで食欲を増進させるなど。


病院としての緊急対応においては、症状や内容によって異なりますが、特に重要なのは呼吸と循環の管理です。具体的には、呼吸が正常に行われているか、気道が確保されているかを確認します。もし気道が確保されていなければ、酸素を取り込むための処置を行い、それによって心臓の循環を維持する対応を行います。


酸素の供給や呼吸機能に問題がある場合は、別のアプローチで対応します。また、血圧や循環器系が適切に機能しているかも確認します。どのような症例であっても、まずは呼吸と循環を優先的に管理することが基本となります。



獣医師の資格の難易度と学生にアドバイス


獣医師 福ちゃん:難しさは勉強していれば取れるけど、勉強の膨大な量ですかね、とにかく記憶していれば取れる。頭の良さにもよりますけど、記憶量が多いです。

大学は6年通います。専門学校はないです。認められた学校に行かないと国家資格は取れない。大学によりますが、90%は受かると思います。合格率や通過率が決まっているわけではないので。自分との戦いになりますね。


学生の皆さんに対してのアドバイスとして、ぜひ積極的に動物病院での実習に参加してほしいと思います。現場で何が必要とされているのかを体験しながら学ぶことは非常に重要です。私自身、学生時代に十分な実習を行わなかったことを後悔しています。


実際に働くようになってから、「この知識を学生時代に学んでおけば良かった」と感じることが多々ありました。例えば、教授に質問したり、特定の病気に対してどのような説明をするのが適切かを学ぶ機会がもっとあれば、現場での対応力も違っていたと思います。学校の講義をただ受動的に聞いているだけでは、試験のためのインプットに終わってしまうことが多いです。ぜひ動物病院の実習に参加して、より実践的な経験を積んでください。


また、アルバイトに関しては、私自身は学生時代に余裕がなく行えませんでしたが、他の業界でのアルバイト経験が役立つこともあると思います。異なる業界で得られる知見や常識は、動物病院での仕事にも活用できる部分が多いと感じます。これらの経験を通じて、幅広い視野を持つことも大切です。



獣医師 福澤さん PETLIF


現在の獣医師業界における研修医制度について


獣医師 福ちゃん:現在の獣医師業界における研修医制度についてですが、実は国が定めた統一された制度やカリキュラムは存在しません。一部の大学病院や認定を受けた動物病院では「研修医」と名乗ることが認められていますが、そのカリキュラムは病院ごとに異なり、各施設が独自に設定した内容で運営されています。

そのため、同じ研修医という肩書でも、どの大学病院や動物病院で学んだかによってスキルや知識に大きな違いがあります。さらに、そもそも研修制度を導入していない動物病院も多く、研修医を経験せずに現場に出る獣医師も少なくありません。この結果、病院の数だけ異なる教育方針が存在し、獣医師としての能力や知識にも大きなばらつきが生じているのが現状です。


こうした状況を改善するためには、業界全体で統一された教育制度やカリキュラムを導入する必要があります。しかし、それを実現するには国の政策として取り組む必要があり、現状では非常に難しい課題です。


そのため、飼い主自身が知識をつけ、適切な獣医師を選べるようになることが大切です。例えば、心臓の病気に特化した獣医師を選んだり、セカンドオピニオンを求めたりすることで、愛犬や愛猫に最適な診療を受けられるようになります。このような意識を広めるために、InstagramなどのSNSを活用して飼い主に向けた情報発信を積極的に行っていきたいと考えています。


また、獣医業界全体の課題として、忙しさから離職してしまう獣医師が多い現状があります。このような優秀な獣医師がキャリアを途中で諦めてしまうのは非常にもったいないことです。そのため、雇用環境の改善にも取り組み、獣医師が働き続けられる環境を整備することが重要だと考えています。



インスタグラムライブとアプリについて


獣医師 福ちゃん:最近のInstagramライブでは、フリートーク形式で進行し、視聴者からの質問に答える形で行われています。この形式は参加者からの関心や質問に沿って進められるため、自然に時間が過ぎていくスタイルです。しかし、フォロワー数に比べてライブやイベント参加者が少ないことが課題となっています。


ライブ配信などを軸に、ペットオーナーの興味を引くコンテンツを発信しながら、アクティブユーザーを増やしていくことで私の知名度を上げていきたいです。また、アプリの開発はサービスの認知度が一定の段階に達した後にしないと、作ったとしても誰にも知られないということになりかねないと思ってます。



獣医師 福澤さん PETLIF


オンラインサロンの概要と課題について聞いてもよろしいでしょうか


獣医師 福ちゃん:現在、月額500円のオンラインサロンを立ち上げていますが、まだ参加者が少なく、無料期間を設けて良さを知ってもらおうと試みています。オンラインサロンでは、メンバー限定で得られる情報やライブイベントの特典を提供する予定ですが、まだ始めたばかりのため投稿数も少なく、参加者の興味を引きつけるコンテンツの工夫が必要だと感じています。

記事の投稿内容ですが、最近ですとハロウィンやクリスマスなどのイベント時期に増える中毒に関する解説や、先日は食物繊維についての解説をしました。ご興味がある方にぜひ見ていただきたいですね。



輸血に関するSNSとドナー登録活動について


獣医師 福ちゃん:現在、犬や猫の輸血システムは十分に確立されておらず、輸血が必要な際に犬や猫がいない病院が多いのが現状です。そのため、多くの場合、TwitterやInstagramを使って情報を拡散し、ドナーを探すという非効率的な方法をとっています。しかし、こうした方法では必要な血液型のドナーがすぐに見つからず、命を救うチャンスを失うケースも少なくありません。


現在、Instagramで「輸血+地域名」などのハッシュタグを用い、緊急時に輸血が必要な動物の情報を拡散する取り組みを行っています。実際のやり取りはLINEのオープンチャットを利用し、迅速な連絡が取れるような体制を整えています。また、ドナー登録制度を今夏から開始しましたが、登録者はまだ11名にとどまっています。一部の登録者は複数の犬や猫を飼っているため、少しでも多くの協力を得たいと考えています。

ドナー登録者を増やすため、Instagramで輸血に関するリール動画の制作を計画しています。リールは拡散力が高いため、輸血の必要性や仕組みを広く伝えられると期待しています。


また、過去には恵比寿などで行われる犬が集まるイベントでビラ配りも行いましたが、多くの飼い主が「うちの子には関係ない」と思う傾向があり、難しさを感じています。正直なところ少し手応えが薄い状態です。 例えば「輸血のコミュニティがあります」という見出しでは興味を持っていただくことが難しいので「血液型って知っていますか?」という見出しにしてみたりしましたが、受け取った方が話を聞いてくれる割合は20人に1人程度のような気がします。



獣医師 福澤さん PETLIF


ちなみに輸血は何日ぐらい持つんですか。


獣医師 福ちゃん:どうやって保存するかにもよるんですけど、犬や猫における輸血の実施には、血液の保存期間は保存方法により異なりますね。血液は液体成分(血漿)と細胞成分(濃厚赤血球)に分けられ、血漿は冷凍保存、濃厚赤血球は冷蔵保存されます。血漿は長期保存できますが、濃厚赤血球を保存できるのは1ヶ月ほどになります。

血液型が合う子の中でクロスマッチという試験をして合わせてみて、固まらないかどうかの確認をクリアしたら輸血ができるという感じです。



獣医師としての将来の展望と夢


獣医師 福ちゃん:ある方と「いつか会社を作りたいね」という話をしています。これはまだ夢の段階で具体的な計画はありませんが、将来的には実現できればと考えています。

獣医師として臨床の仕事は続けたいと思いつつ、他にも挑戦したいことがいくつかあります。たとえば、ペットの健康管理ができるアプリを開発したいという夢があります。また、獣医師業界では過酷な労働環境から働けなくなったり、辞めてしまう方が多い現状があります。そういった方々のために、新しい雇用の場を提供できるような施設を作りたいと考えています。


具体的には、複合型のペット施設を構想しています。この施設では、たとえば鍼灸治療や食事の相談、獣医師による健康相談が受けられるだけでなく、季節ごとにペットの写真を撮影できるようなかわいいセットを設置するなど、多岐にわたるサービスを提供する予定です。また、この施設では、労働環境が原因で辞めてしまった獣医師や看護師が、時短勤務や柔軟な働き方ができる職場環境を整えたいと考えています。

こうした夢や構想がまだ実行には至っていませんが、獣医師としての活動以外にも、さまざまな形でペットやその飼い主、業界全体に貢献できる取り組みを模索していきたいと思っています。



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最後に伝えたいこと


獣医師 福ちゃん:たまに、1週間前から具合が悪いということで来院される方もいらっしゃいますが、早めに来ていただけると出来ることも違うので、何か症状があればすぐにいらしていただきたいと思っています。



施設情報


いぬねこのお医者さん【獣医師 福ちゃん】

インスタグラム「inunekono_vet」

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